公的研究費の不正使用防止に関する基本方針

(平成29年2月1日策定)
株式会社大阪アサヒメタル工場

公的研究費の原資の大部分は貴重な税金であり、当社におけるさまざまな活動は、社会の信頼と負託によって支えられています。その不正使用は社会からの信頼等に反する行為であり、公的研究費の管理については当社の責任において適正に行わなければなりません。
当社は、公的研究費の不正使用根絶に向けて、不正使用を誘発する要因を除去し、抑止機能を有する環境・体制の構築を図るため、次のとおり公的研究費の不正使用防止に関する基本方針を定めます。

  1. 不正使用防止対策に関する責任体系を明確化する。
  2. 事務処理に関する職務権限やルールを明確化するとともに、不正使用防止対策に関する関係者の意識向上を図り、抑止機能を備えた環境・体制の構築を図る。
  3. 不正を誘発させる要因に対応した具体的な不正使用防止計画を策定し、実効性のある対策を確実かつ継続的に実施する。
  4. 適正な予算執行を行うことができるよう、実効性のあるチェックが効くシステムを構築し、公的研究費の適正な運営、管理を行う。
  5. 公的研究費の使用のルール等が適切に情報共有・共通理解される体制を構築する。
  6. 公的研究費の不正使用が起きない、起こさない環境づくりを目指し、実効性のあるモニタリング体制を整備する。

公的研究費の取扱いに関する規程

(平成29年2月1日策定)
株式会社大阪アサヒメタル工場

第1章 総則

(目的)

第1条 この規程は、当社における公的研究費の取扱いに関し必要な事項を定め、不正使用を防止し、その適正な管理を図るとともに、適切かつ円滑な運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この規程において「公的研究費」とは、補助金、委託費等を財源として当社で扱うすべての経費をいう。
2 この規程において「研究者等」とは、当社の公的研究費の運営及び管理に関わるすべての者をいう。
3 この規程において「不正使用」とは、故意又は重大な過失による、公的研究費の他の用途への使用又は当社の規程、法令並びに競争的資金等の交付の決定の内容及びこれに付した条件等に違反した使用をいう。

(法令等の遵守)

第3条 研究者等は、公的研究費の取扱いについては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)及び関係法令並びに交付等の際の条件を遵守しなければならない。

第2章 運営及び管理体制

(最高管理責任者)

第4条 公的研究費の運営及び管理について最終責任を負う者として最高管理責任者を置き、社長をもって充てる。
2 最高管理責任者は、不正使用防止対策の基本方針(以下「基本方針」という。)を策定及び周知するとともに、次条に規定する統括管理責任者及び第6条に規定するコンプライアンス推進責任者が公的研究費の適切な運営及び管理を行えるよう必要な措置を講じなければならない。

(統括管理責任者)

第5条 最高管理責任者を補佐し、公的研究費の運営及び管理について当社全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者として統括管理責任者を置き、研究を担当する常務取締役をもって充てる。
2 統括管理責任者は、不正使用防止対策の組織横断的な体制を統括する責任者として、基本方針に基づき、当社全体の具体的な対策を策定及び実施し、コンプライアンス推進責任者に対策の実施を指示するとともに、当該実施状況を確認し、定期的に、最高管理責任者へ報告しなければならない。

(コンプライアンス推進責任者)

第6条 部等の公的研究費の運営及び管理について実質的な責任と権限を持つ者としてコンプライアンス推進責任者を置き、当該部等の長(総務を担当する取締役)をもって充てる。
2 コンプライアンス推進責任者は、統括管理責任者の指示の下、次の各号に定める業務を行わなければならない。
(1) 自己の管理監督又は指導する部等における対策を実施し、実施状況を確認するとともに、定期的に統括管理責任者へ書面により報告書を提出する。
(2) 不正使用の防止を図るため、研究者等に対してコンプライアンス教育を実施し、受講状況を管理監督する。
(3) 研究者等が適切に公的研究費の管理、執行等を行っているか等をモニタリングし、必要に応じて改善を指導する。
3 コンプライアンス推進責任者は、必要に応じてコンプライアンス推進副責任者(以下「副責任者」という。)を任命することができる。

(職名の公開)

第7条 前3条の責任者(以下「各責任者」という。)を置いたとき、又はこれを変更したときは、その職名を公開するものとする。

第3章 適正な運営及び管理のための環境整備

(経理事務)

第8条 公的研究費に係る契約、旅費支給、給与及び謝金支給等の経理に関する取扱いは、別に定めのある場合のほか、社内規程等により取り扱うものとする。

(相談窓口)

第9条 公的研究費に係る事務処理手続及び使用ルール等に関する社内外からの相談に迅速かつ適切に対応するため、相談を受け付けるための窓口(以下「相談窓口」という。)を設置するものとする。
2 相談窓口は、総務部内に設置するものとする。その担当係等は公開するものとする

第4章 研究者等の意識向上等

(行動規範)

第10条 不正使用を防止するため、当社の研究者等の行動規範を策定する。

(研修会等)

第11条 不正使用を防止するため、コンプライアンス教育に係る研修会の開催その他の適当な方法により、研究者等の規範意識の向上を図るものとする。

(研究者等の責務)

第12条 研究者等は、コンプライアンス教育に係る研修会等を受講しなければならない。ただし、コンプライアンス推進責任者が受講の必要がないと判断した者にあっては、この限りでない。
2 研究者等は、別に定める様式にて誓約書を最高管理責任者あてに提出しなければならない。
3 前項の義務を履行しない者にあっては、公的研究費の申請並びに運営及び管理に関わることができない。

第5章 不正使用に係る調査、処分等

(調査委員会)

第13条 不正使用があった場合又は不正使用の疑いがある事案が生じた場合には、当社の公的研究費の不正使用に係る調査等に関する取扱規則(以下「不正使用に係る調査等取扱規則」という。)に基づき設置する不正使用に係る調査委員会(以下「調査委員会」という。)において必要な調査を行うものとする。
2 前項の定めによる調査の結果、不正使用があったと認められた者については、当社就業規則及び不正使用に係る調査等取扱規則に則り懲戒処分、氏名の公表を行うものとする。
3 各責任者において、管理監督の責任が十分に果たされず、結果として不正を招いた場合には、前項に準じて取り扱うものとする。

第6章 不正使用の防止

(防止計画の策定等)

第14条 コンプライアンス責任者は、不正使用の防止計画を策定し、これに基づく業務の推進及び管理を行うものとする。

第7章 公的研究費の適正な運営及び管理

(執行状況の確認等)

第15条 コンプライアンス推進責任者及び副責任者(以下「コンプライアンス推進責任者等」という。)は、財務会計システム等により随時公的研究費の執行状況を確認し、著しく執行が遅れていると認める場合は、研究者等に対し、当該理由を確認の上、必要に応じて改善を指導しなければならない。
2 執行の遅れが研究計画の遂行上問題があると判断された場合は、コンプライアンス推進責任者等は、繰越制度の活用、資金交付元への返還等を含めた改善策を研究者等に遅滞なく示すものとする。

(発注段階での財源の特定)

第16条 研究者等は、公的研究費の執行状況を的確に把握するため、発注段階において支出財源を特定して発注するものとする。

(取引業者との癒着防止)

第17条 発注又は契約する際は、会計規程等の定めにより行うこととし、発注又は契約を研究者等に委任する場合においても、コンプライアンス推進責任者等は、研究者等と取引業者との癒着を防止するため、必要に応じて癒着防止のための措置を講ずるものとする。

(検収業務等)

第18条 物品の購入、製造及び修理並びに役務に係る契約(以下「物品の購入等契約」という。)に伴う検収業務については、社内規程等の定めにより行うものとし、研究者が国内で物品の購入等契約を行いかつ、研究者本人がその検収行為を行う場合は、原則として、事務部による契約の履行事実の確認を受けなければならない。
2 非常勤職員等を雇用等する場合は、事務部が日常的に勤務事実の確認を行うこととする。ただし、事務部による日常的な確認が困難な場合にあっては、定期的に確認する方法によることとする。

(出張の確認)

第19条 当社の業務遂行上必要となる出張については、部長等から命令又は依頼を受け、あらかじめ予算責任者又は予算責任者から権限を委任された者の承認を得るものとする。
2 出張終了後は出張報告書、旅費規則等で定められた書類その他の旅行の事実を証明するものを提出しなければならない。

(不正な取引を行った業者の処分)

第20条 不正な取引に関与した業者については、当社の物品購入等契約に係る取引停止等の取扱基準に基づき、取引停止等の措置を講ずるものとする。

第8章 情報伝達を確保する体制

(通報窓口)

第21条 不正使用等(その疑いがあるものを含む。次条において同じ。)に関する通報及び情報提供を受け付けるための窓口(以下「通報窓口」という。)を原則として相談窓口とは別に設置するものとする。
2 通報窓口は、総務部に設置するものとする。

(不正使用等に関する報告)

第22条 通報窓口に不正使用等に関する通報及び情報提供があった場合は、窓口担当者は統括管理責任者に、統括管理責任者は最高管理責任者に、速やかにその旨を報告しなければならない。

(使用ルール等の理解度の確認)

第23条 コンプライアンス推進責任者は、不正使用を防止する観点から、研究者等に対し公的研究費の使用ルール等に関する理解度の調査を実施し、その結果について問題があると認める場合は、必要な措置を講ずるものとする。

(不正使用防止に向けた措置)

第24条 コンプライアンス推進責任者は、不正使用の防止に向けた施策を確実かつ継続的に推進するものとする。

   

第9章 モニタリング等

(監査制度)

第25条 公的研究費の適正な管理のため、当社の内部監査規程(以下「内部監査規程」という。)に基づき、公正かつ的確な監査を実施するものとする。

(内部監査)

第26条 コンプライアンス推進責任者は、内部監査規程に基づき、業務監査及び会計監査を実施するほか、不正使用の防止を推進するための体制について検証するとともに、不正使用が発生しやすい要因に着目した監査を実施するものとする。

第10章 その他

(細則等への委任)

第27条 この規程に定めるもののほか、公的研究費の取扱いに関し必要な事項は、別に定める。

附則

この規程は、平成29年2月1日から施行する。

株式会社大阪アサヒメタル工場における研究活動上の不正行為の防止及び対応に関する規程

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この規程は、株式会社大阪アサヒメタル工場における公的資金を用いた研究活動において、研究活動上の不正行為の防止及び不正行為が生じた場合における適正な対応について必要な事項を定める。

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 研究活動上の不正行為
① 故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる、捏造、改ざん、又は盗用。
・捏造:存在しないデータ、研究結果等を作成すること
・改ざん:研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること
・盗用:他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文または用語を当該研究者の了解または適切な表示なく流用すること
② ①以外の研究活動上の不適切な行為であって、科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの
(2) 研究者等
株式会社大阪アサヒメタル工場に雇用されている者及び株式会社大阪アサヒメタル工場の施設や設備を利用している者のうち、公的資金を用いた研究に従事している者又は携わる者
(3) 部局
株式会社大阪アサヒメタル工場の組織図に定める研究開発部

(研究者等の責務)

第3条 研究者等は、研究活動上の不正行為やその他の不適切な行為を行ってはならず、また、他者による不正行為の防止に努めなければならない。
2 研究者等は、研究者倫理及び研究活動に係る法令等に関する研修又は科目等を受講しなければならない。
3 研究者等は、研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を担保するため、実験・観察記録ノート、実験データその他の研究資料等を5年間、適切に保存・管理し、開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示しなければならない。

第2章 不正防止のための体制

(総括責任者)

第4条 常務取締役は、研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し、法人全体を統括する権限と責任を有する者として、公正な研究活動を推進するために適切な措置を講じるものとする。

(部局責任者)

第5条 部局の長は、当該部局における研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関する責任者として、公正な研究活動を推進するための適切な措置を講じるものとする。

(研究倫理教育責任者)

第6条 常務取締役は、研究者等に対する研究倫理教育について実質的な責任と権限を持つ者として研究倫理教育責任者を置き、「研究開発部部長」を充てるものとする。
2 研究倫理教育責任者は、当該部局に所属する研究者等に対し、研究者倫理に関する教育を定期的に行わなければならない。

第3章 告発の受付

(告発の受付窓口)

第7条 告発又は相談への迅速かつ適切な対応を行うため、総務部に受付窓口を置くものとする(以下「告発窓口」という。)。

(告発の受付体制)

第8条 研究活動上の不正行為の疑いがあると思料する者は、何人も、書面、ファクシミリ、電子メール、電話又は面談により、告発窓口に対して告発を行うことができる。
2 告発は、原則として、顕名により、研究活動上の不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称、研究活動上の不正行為の態様その他事案の内容が明示され、かつ、不正とする合理的理由が示されていなければならない。
3 告発窓口の責任者は、匿名による告発について、必要と認める場合には、総務部長と協議の上、これを受け付けることができる。
4 告発窓口の責任者は、告発を受け付けたときは、速やかに、社長に報告するものとする。社長は、当該告発に関係する部局の長等に、その内容を通知するものとする。
5 告発窓口の責任者は、告発が郵便による場合など、当該告発が受け付けられたかどうかについて告発者が知り得ない場合には、告発が匿名による場合を除き、告発者に受け付けた旨を通知するものとする。
6 新聞等の報道機関、研究者コミュニティ又はインターネット等により、不正行為の疑いが指摘された場合(研究活動上の不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称、研究活動上の不正行為の態様その他事案の内容が明示され、かつ、不正とする合理的理由が示されている場合に限る。)は、社長は、これを匿名の告発に準じて取り扱うことができる。

(告発の相談)

第9条 研究活動上の不正行為の疑いがあると思料する者で、告発の是非や手続について疑問がある者は、告発窓口に対して相談をすることができる。
2 告発の意思を明示しない相談があったときは、告発窓口は、その内容を確認して相当の理由があると認めたときは、相談者に対して告発の意思の有無を確認するものとする。
3 相談の内容が、研究活動上の不正行為が行われようとしている、又は研究活動上の不正行為を求められている等であるときは、告発窓口の責任者は、社長に報告するものとする。
4 第3項の報告があったときは、社長は、その内容を確認し、相当の理由があると認めたときは、その報告内容に関係する者に対して警告を行うものとする。

(告発窓口の職員の義務)

第10条 告発の受付に当たっては、告発窓口の職員は、告発者の秘密の遵守その他告発者の保護を徹底しなければならない。
2 告発窓口の職員は、告発を受け付けるに際し、面談による場合は個室にて実施し、書面、ファクシミリ、電子メール、電話等による場合はその内容を他の者が同時及び事後に見聞できないような措置を講ずるなど、適切な方法で実施しなければならない。
3 前2項の規定は、告発の相談についても準用する。

第4章 関係者の取扱い

(秘密保護義務)

第11条 この規程に定める業務に携わる全ての者は、業務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。職員等でなくなった後も、同様とする。
2 社長は、告発者、被告発者、告発内容、調査内容及び調査経過について、調査結果の公表に至るまで、告発者及び被告発者の意に反して外部に漏洩しないよう、これらの秘密の保持を徹底しなければならない。
3 社長は、当該告発に係る事案が外部に漏洩した場合は、告発者及び被告発者の了解を得て、調査中にかかわらず、調査事案について公に説明することができる。ただし、告発者又は被告発者の責に帰すべき事由により漏洩したときは、当該者の了解は不要とする。
4 社長又はその他の関係者は、告発者、被告発者、調査協力者又は関係者に連絡又は通知をするときは、告発者、被告発者、調査協力者及び関係者等の人権、名誉及びプライバシー等を侵害することのないように、配慮しなければならない。

(告発者の保護)

第12条 部局の責任者は、告発をしたことを理由とする当該告発者の職場環境の悪化や差別待遇が起きないようにするために、適切な措置を講じなければならない。
2 株式会社大阪アサヒメタル工場に所属する全ての者は、告発をしたことを理由として、当該告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
3 社長は、告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、就業規則に従って、その者に対して処分を課すことができる。
4 社長は、悪意に基づく告発であることが判明しない限り、単に告発したことを理由に当該告発者に対して解雇、配置換え、懲戒処分、降格、減給その他当該告発者に不利益な措置等を行ってはならない。

(被告発者の保護)

第13条 株式会社大阪アサヒメタル工場に所属する全ての者は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 社長は、相当な理由なしに、被告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、就業規則に従って、その者に対して処分を課すことができる。
3 社長は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者の研究活動の全面的な禁止、解雇、配置換え、懲戒処分、降格、減給その他当該被告発者に不利益な措置等を行ってはならない。

(悪意に基づく告発)

第14条 何人も、悪意に基づく告発を行ってはならない。本規程において、悪意に基づく告発とは、被告発者を陥れるため又は被告発者の研究を妨害するため等、専ら被告発者に何らかの不利益を与えること又は被告発者が所属する組織等に不利益を与えることを目的とする告発をいう。
2 社長は、悪意に基づく告発であったことが判明した場合は、当該告発者の氏名の公表、懲戒処分、刑事告発その他必要な措置を講じることができる。
3 社長は、前項の処分が課されたときは、該当する資金配分機関及び関係省庁に対して、その措置の内容等を通知する。

第5章 事案の調査

(予備調査の実施)

第15条 第8条に基づく告発があった場合又は株式会社大阪アサヒメタル工場がその他の理由により予備調査の必要を認めた場合は、社長は予備調査委員会を設置し、予備調査委員会は速やかに予備調査を実施しなければならない。
2 予備調査委員会は、3名の委員によって構成するものとし、社長が指名する。
3 予備調査委員会は、必要に応じて、予備調査の対象者に対して関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め又は関係者のヒアリングを行うことができる。
4 予備調査委員会は、本調査の証拠となり得る関係書類、研究ノート、実験資料等を保全する措置をとることができる。

(予備調査の方法)

第16条 予備調査委員会は、告発された行為が行われた可能性、告発の際に示された科学的理由の論理性、告発内容の本調査における調査可能性、その他必要と認める事項について、予備調査を行う。
2 告発がなされる前に取り下げられた論文等に対してなされた告発についての予備調査を行う場合は、取下げに至った経緯及び事情を含め、研究上の不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断するものとする。

(本調査の決定等)

第17条 予備調査委員会は、告発を受け付けた日又は予備調査の指示を受けた日から起算して原則30日以内に、予備調査結果を社長に報告する。
2 社長は、予備調査結果を踏まえ、速やかに、本調査を行うか否かを決定する。
3 社長は、本調査を実施することを決定したときは、告発者及び被告発者に対して本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求める。
4 社長は、本調査を実施しないことを決定したときは、その理由を付して告発者に通知する。この場合には、資金配分機関又は関係省庁や告発者の求めがあった場合に開示することができるよう、予備調査に係る資料等を保存するものとする。
5 社長は、本調査を実施することを決定したときは、当該事案に係る研究費の資金配分機関及び関係省庁に、本調査を行う旨を報告するものとする。

(調査委員会の設置)

第18条 社長は、本調査を実施することを決定したときは、速やかに、調査委員会を設置する。
2 調査委員会の委員の半数以上は、株式会社大阪アサヒメタル工場に属さない外部有識者でなければならない。
また、全ての調査委員は、告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者でなければならない。
3 調査委員会の委員は、次の各号に掲げる者とする。
(1) 社長が指名した者 1名
(2) 研究分野の知見を有する者 1名
(3) 法律の知識を有する外部有識者 1名

(本調査の通知)

第19条 社長は、調査委員会を設置したときは、調査委員会委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知する。
2 前項の通知を受けた告発者又は被告発者は、当該通知を受けた日から起算して7日以内に、書面により、社長に対して調査委員会委員に関する異議を申し立てることができる。
3 社長は、前項の異議申立てがあった場合は、当該異議申立ての内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該異議申立てに係る調査委員会委員を交代させるとともに、その旨を告発者及び被告発者に通知する。

(本調査の実施)

第20条 調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して原則30日以内に、本調査を開始するものとする。
2 調査委員会は、告発者及び被告発者に対し、直ちに、本調査を行うことを通知し、調査への協力を求めるものとする。
3 調査委員会は、告発において指摘された当該研究に係る論文、実験・観察ノート、生データその他資料の精査及び関係者のヒアリング等の方法により、本調査を行うものとする。
4 調査委員会は、被告発者による弁明の機会を設けなければならない。
5 調査委員会は、被告発者に対し、再実験等の方法によって再現性を示すことを求めることができる。また、被告発者から再実験等の申し出があり、調査委員会がその必要性を認める場合は、それに要する期間及び機会並びに機器の使用等を保障するものとする。
6 告発者、被告発者及びその他当該告発に係る事案に関係する者は、調査が円滑に実施できるよう積極的に協力し、真実を忠実に述べるなど、調査委員会の本調査に誠実に協力しなければならない。

(本調査の対象)

第21条 本調査の対象は、告発された事案に係る研究活動の他、調査委員会の判断により、本調査に関連した被告発者の他の研究を含めることができる。

(証拠の保全)

第22条 調査委員会は、本調査を実施するに当たって、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるものとする。
2 告発された事案に係る研究活動が行われた研究機関が株式会社大阪アサヒメタルでないときは、調査委員会は、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるよう、当該研究機関に依頼するものとする。
3 調査委員会は、前2項の措置に必要な場合を除き、被告発者の研究活動を制限してはならない。

(本調査の中間報告)

第23条 調査委員会は、本調査の終了前であっても、告発された事案に係る研究活動の予算の配分又は措置をした資金配分機関又は関係省庁の求めに応じ、本調査の中間報告を当該資金配分機関及び関係省庁に提出するものとする。

(調査における研究又は技術上の情報の保護)

第24条 調査委員会は、本調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏洩することのないよう、十分配慮するものとする。

(不正行為の疑惑への説明責任)

第25条 調査委員会の本調査において、被告発者が告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続にのっとって行われたこと、並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。
2 前項の場合において、再実験等を必要とするときは、第20条第5項の定める保障を与えなければならない。

第6章 不正行為等の認定

(認定の手続)

第26条 調査委員会は、本調査を開始した日から起算して150日以内に調査した内容をまとめ、不正行為が行われたか否か、不正行為と認定された場合はその内容及び悪質性、不正行為に関与した者とその関与の度合、不正行為と認定された研究に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割、その他必要な事項を認定する。
2 前項に掲げる期間につき、原則150日以内に認定を行うことができない合理的な理由がある場合は、その理由及び認定の予定日を付して、社長に申し出て、その承認を得るものとする。
3 調査委員会は、不正行為が行われなかったと認定される場合において、調査を通じて告発が悪意に基づくものであると判断したときは、併せて、その旨の認定を行うものとする。
4 前項の認定を行うに当たっては、告発者に弁明の機会を与えなければならない。
5 調査委員会は、本条1項及び3項に定める認定が終了したときは、直ちに、社長に報告しなければならない。

(認定の方法)

第27条 調査委員会は、告発者から説明を受けるとともに、調査によって得られた、物的・科学的証拠、証言、被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して、不正行為か否かの認定を行うものとする。
2 調査委員会は、被告発者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定することはできない。
3 調査委員会は、被告発者の説明及びその他の証拠によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定することができる。保存義務期間の範囲に属する生データ、実験・観察ノート、実験試料・試薬及び関係書類等の不存在等、本来存在するべき基本的な要素が不足していることにより、被告発者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも、同様とする。

(調査結果の通知及び報告)

第28条 社長は、速やかに、調査結果(認定を含む)を告発者、被告発者及び被告発者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者に通知するものとする。被告発者が株式会社大阪アサヒメタル工場以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。
2 社長は、前項の通知に加えて、調査結果を当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に報告するものとする。
3 社長は、悪意に基づく告発との認定があった場合において、告発者が株式会社大阪アサヒメタル工場以外の機関に所属しているときは、当該所属機関にも通知するものとする。

(不服申立て)

第29条 研究活動上の不正行為が行われたものと認定された被告発者は、通知を受けた日から起算して14日以内に、調査委員会に対して不服申立てをすることができる。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。
2 告発が悪意に基づくものと認定された告発者(被告発者の不服申立ての審議の段階で悪意に基づく告発と認定された者を含む。)は、その認定について、第1項の例により、不服申立てをすることができる。
3 不服申立ての審査は、調査委員会が行う。社長は、新たに専門性を要する判断が必要となる場合は、調査委員の交代若しくは追加、又は調査委員会に代えて他の者に審査をさせるものとする。ただし、調査委員会の構成の変更等を行う相当の理由がないと認めるときは、この限りでない。
4 前項に定める新たな調査委員は、第18条第2項及び第3項に準じて指名する。
5 調査委員会は、当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立てを却下すべきものと決定した場合には、直ちに、社長に報告する。報告を受けた社長は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。その際、その不服申立てが当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的とするものと調査委員会が判断した場合は、以後の不服申立てを受け付けないことを併せて通知するものとする。
6 調査委員会は、不服申立てに対して再調査を行う旨を決定した場合には、直ちに、社長に報告する。報告を受けた社長は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。
7 社長は、被告発者から不服申立てがあったときは告発者に対して通知し、告発者から不服申立てがあったときは被告発者に対して通知するものとする。また、その事案に係る資金配分機関及び関係省庁に通知する。不服申立ての却下又は再調査開始の決定をしたときも同様とする。

(再調査)

第30条 前条に基づく不服申立てについて、再調査を実施する決定をした場合には、調査委員会は、不服申立人に対し、先の調査結果を覆すに足るものと不服申立人が思料する資料の提出を求め、その他当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めるものとする。
2 前項に定める不服申立人からの協力が得られない場合には、調査委員会は、再調査を行うことなく手続を打ち切ることができる。その場合には、調査委員会は、直ちに社長に報告する。報告を受けた社長は、不服申立人に対し、その決定を通知するものとする。
3 調査委員会は、再調査を開始した場合には、その開始の日から起算して原則50日以内に、先の調査結果を覆すか否かを決定し、その結果を直ちに社長に報告するものとする。ただし、50日以内に調査結果を覆すか否かの決定ができない合理的な理由がある場合は、その理由及び決定予定日を付して社長に申し出て、その承認を得るものとする。
4 社長は、本条2項又は3項の報告に基づき、速やかに、再調査の結果を告発者、被告発者及び被告発者以外で研究活動上の不正行為に関与したと認定された者に通知するものとする。被告発者が株式会社大阪アサヒメタル工場以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。また、当該事案に係る資金配分機関及び関係省庁に報告する。

(調査結果の公表)

第31条 社長は、研究活動上の不正行為が行われたとの認定がなされた場合には、速やかに、調査結果を公表するものとする。
2 前項の公表における公表内容は、研究活動上の不正行為に関与した者の氏名・所属、研究活動上の不正行為の内容、株式会社大阪サヒメタル工場が公表時までに行った措置の内容、調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を含むものとする。
3 前項の規定にかかわらず、研究活動上の不正行為があったと認定された論文等が、告発がなされる前に取り下げられていたときは、当該不正行為に関与した者の氏名・所属を公表しないことができる。
4 研究活動上の不正行為が行われなかったとの認定がなされた場合には、調査結果を公表しないことができる。ただし、被告発者の名誉を回復する必要があると認められる場合、調査事案が外部に漏洩していた場合又は論文等に故意若しくは研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものでない誤りがあった場合は、調査結果を公表するものとする。
5 前項ただし書きの公表における公表内容は、研究活動上の不正行為がなかったこと、論文等に故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものではない誤りがあったこと、被告発者の氏名・所属、調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を含むものとする。
6 社長は、悪意に基づく告発が行われたとの認定がなされた場合には、告発者の氏名・所属、悪意に基づく告発と認定した理由、調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を公表する。

第7章 措置及び処分

(本調査中における一時的措置)

第32条 社長は、本調査を行うことを決定したときから調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間、被告発者に対して告発された研究費の一時的な支出停止等の必要な措置を講じることができる。
2 社長は、資金配分機関又は関係機関から、被告発者の該当する研究費の支出停止等を命じられた場合には、それに応じた措置を講じるものとする。

(研究費の使用中止)

第33条 社長は、研究活動上の不正行為に関与したと認定された者、研究活動上の不正行為が認定された論文等の内容に重大な責任を負う者として認定された者、及び研究費の全部又は一部について使用上の責任を負う者として認定された者(以下「被認定者」という。)に対して、直ちに研究費の使用中止を命ずるものとする。

(論文等の取下げ等の勧告)

第34条 社長は、被認定者に対して、研究活動上の不正行為と認定された論文等の取下げ、訂正又はその他の措置を勧告するものとする。
2 被認定者は、前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思表示を社長に行わなければならない。
3 社長は、被認定者が第1項の勧告に応じない場合は、その事実を公表するものとする。

(措置の解除等)

第35条 社長は、研究活動上の不正行為が行われなかったものと認定された場合は、本調査に際してとった研究費の支出停止等の措置を解除するものとする。また、証拠保全の措置については、不服申立てがないまま申立期間が経過した後又は不服申立ての審査結果が確定した後、速やかに解除する。
2 社長は、研究活動上の不正行為を行わなかったと認定された者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講じるものとする。

(処分)

第36条 社長は、本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合は、当該研究活動上の不正行為に関与した者に対して、法令、職員就業規則その他関係諸規程に従って、処分を課すものとする。
2 社長は、前項の処分が課されたときは、該当する資金配分機関及び関係省庁に対して、その処分の内容等を通知する。

(是正措置等)

第37条 本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合には、総括責任者は、必要に応じて、速やかに是正措置、再発防止措置、その他必要な環境整備措置(以下「是正措置等」という。)をとるものとする。
2 総括責任者は、関係する部局の責任者に対し、是正措置等をとることを命ずることができる。
3 社長は、第1項及び第2項に基づいてとった是正措置等の内容を該当する資金配分機関及び関係省庁に対して報告するものとする。

附 則

この規程は、平成30年8月1日から施行する。